「研究者として上手くやっていくためには」 長谷川修司著を読んだ (最近よくブルーバックスを読んでいる)。院生に向けた、あるいは研究者全体に向けた、研究をする上での心得というものは数多くあると思うが、院生を終えてから中堅研究者として信頼を獲得していくまでを扱ったものは少ない。本書は、研究者を院生、若手研究者、グループリーダークラスに分けて、それぞれにおける心得を取り扱っているという点でよかった。私と分野は違うけれど役立つ内容であった。
一つ驚いたことは、著者の持ち込みで出版するに至ったという経緯が書かれていたことだった。持ち込み出版を思いたったのは、Paul J. Silvia著「できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (原題 How to write a lot)」を読んでとのことである。オファーがあってから書くのではなくて、書きたいことを書いて持ち込む。そういう発想を忘れていた。
私もその原著は読んだことがあったのだった。それにしても、いまや「書く」だけでなく「たくさん書く」ことが求められるのである。研究者として~でも言及されているが、創造的な仕事を評価されるには、ある程度一連になった作品の「かさ」が必要なのだ。これはなかなか難しい。ただ単に作品が多いだけでなく、それらがひとつながりの作品群でないといけないのだから。