日記#102

2018年の目標として本を30冊読むというのを掲げていた (専門書や雑誌、論文は含まない)。今更ながら数えたところ21冊だった。残念。本当はもう少し文学を読みたいのだけど、ライフハック系、自己啓発系が多い。なかなか物語に没入するのに、まとまった時間が取れない。唯一読んだのが、台湾への移動中に読んだ「日の名残り」であった。月2冊強、今年こそは読めると良い。

今年に入ってからは、

  • なぜ科学はストーリーを必要としているのか──ハリウッドに学んだ伝える技術 Randy Olson著
  • 芸術起業論 村上 隆 著

を読んだ。最初の方の本は、研究発表をする技術として大変勉強になった。この本が推奨しようとしているのは、針小棒大に研究を語ることで研究のインパクトを大きくしようということではない。冗長で叙述的になりやすい研究論文のフォーマットを理解しやすいよう物語的 (narrative) な構成に変えてはどうかという提案に近いと思った。訳本に多い、多数の実例から成る構成だけど、ハウツー的なことも十分書かれていて、自分の発表にも取り入れやすい。

後の方の本は、芸術家に関する本だけれど、考えさせられることは多数あった。著者は、勤め人の芸大教授に対し、「モラトリアム期間を過ごし続けるタイプの自由しか生まれてこない」と批判しているけど、これはそのまま勤め人の科学者にも言えることかもしれない。芸術には時間とお金が必要で、お金があれば時間を買うこともできる。著者は、芸術に必要なお金を芸術活動を通じて得るために、芸術の世界基準について研究を重ね、徹底的に自身の作品のブランディングを行なっている。研究では、自分が面白いと思う研究をやるのが重要という意見の一方で、評価される・役立つ研究が重要という意見がある。前者がモラトリアム的、後者がブランディング巧者的といえるかな。私は前者的な研究に憧れているけれど、後者的な視点も極めて大事である (本の内容を研究に活かせるほどに咀嚼はできていない)。

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