アメリカ滞在を総括する

約2年間のアメリカ滞在を終え、日本に帰国して2年が経過した。COVID-19以降に続いた、社会や職場における感染リスク管理の変化で疲弊した精神を十分に回復させないままに、アメリカ生活へと突入した。2022年の秋、日本はまだCOVID-19の影響が色濃く、マスク着用が暗黙であった。一方、すでに半分以上がマスク着用をやめ、after COVIDが始まりつつあったアメリカで、どの程度気を使うのがいいのか分からず、結果として気を使い過ぎてしまった。

滞在開始後、加速した円安。自身は円ベースで給料をいただいていたこともあり、日々いつドル送金するのがいいのか、えいやで送金したと思えば、すぐに日銀による介入。仕方がないのだけど、ひどく損した気持ちになる。減る銀行残高。貧すれば鈍する、ということを身をもって知る。しかし、生活は流れる。子供2人の異国での慣れない生活をカバーしないといけないし、本業はここへ研究をしにきているのである。幸い、dutyはないとはいえ、何も学ばずに帰るわけにはいかない(システムのほとんどが違うので、否が応でも学ぶわけだが)。

こういった環境の中で、精神はさらに蝕まれていったと感じる。特定の症状があったわけではないし、幸い病院にかかるほどではなかったが、この滞在中の2年間はぽっかり穴が空いたようで、日本へ帰ってきた時、2年間の滞在というものは全くなく、ずっと日本で生活してきたような感覚に襲われた。昨日家へ帰って、翌日出勤したような。

帰国して1年間はほとんど、自身の米国滞在を直視することができなかった。たくさんの学びがあった一方で、反省と後悔が強く残った。学びだけでなく、そういった失敗も本来は糧になるはずだが、それらの経験を活かすことが全くできなかった。唯一残ったのは、異国で言葉もろくに話せない、コミュニケーションも下手なのに生きて帰ってきたこと。どんなに上手くいかなくても、自分で自分を信じきるということ。帰国後、研究も失敗続きの中で、腐らず諦めずに続けられたのは良かった。

米国滞在と向き合い、経験を少しずつ糧とできるようになってきたのが、帰国から2年が経った今ようやくである。